幼稚園・保育園・専門家と一緒に子育てを考えるチャイルドコミュニティ
コラムタイトル
「子どもは寝入ったら、朝までグッスリ眠るもの」という誤解
 外旅行の時差ぼけは疲れがとれず、ボーっとしてつらいもの。実は、夜ふかしが続くと、私たちは慢性の時差ぼけに近い状態になってしまうのです。
 夜ふかしをして朝起きる時刻が遅くなると、朝の光を浴びる機会が減ります。25時間の生体時計を1日24時間の地球時間に合わせにくくなるのです。また、夜明るい環境で過ごすと、夜になっても生体時計は昼間だと勘違いし、生体時計の周期はますます長くなります。地球時間とのズレがさらに大きくなります。
 体内の様々なリズム(睡眠覚醒、体温、ホルモン)をオーケストラの各パートとすると、朝の光は指揮者です。指揮者(朝の光)が長い間いないと、オーケストラはまとまらずバラバラに。言い換えると、様々な生体リズムにズレが生じ、体調不良に陥ります。
 この症状は夜勤や海外旅行でおきる、いわゆる「時差ぼけ」と同じ。体調不良が生じ、眠たいときに眠れず、眠ってはいけないときに眠くなります。疲労感が増し、食欲や集中力が低下することも。昼間の活動量も低下します。時差ぼけは、大人だけではなく子どもにも起きます。
 慢性の時差ぼけの問題点は、このような状態になっても、すぐには命に関係しないということです。時差ぼけでも海外旅行中には観光を続けますよね。つまり慢性の時差ぼけになっていても、なかなか気付くことができず、そこから抜け出すことも難しいのです。慢性の時差ぼけは、脱して初めて「あっ、今までの自分はいったいなんだったのだろうか?」と気付くものです。
 お子さんが「どうも午前中元気がない。ボーッとしている」と気になったら、夜ふかしで慢性の時差ぼけ状態になっている可能性も。生活時間を見直すことも必要でしょう。
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子育てコラム 著者プロフィール
東京ベイ・
浦安市川医療センター
センター長
神山 潤

東京生まれ、
東京医科歯科大学医学部医学科卒業
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
日本子ども健康科学会 理事
日本小児神経学会評議員
日本臨床神経生理学会評議員
日本睡眠学会理事
子どもの早起きをすすめる会発起人。

睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。 旭川、ロサンゼルスでは睡眠の基礎的研究にも従事。
米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。

オフィシャルサイト http://www.j-kohyama.jp/