幼稚園・保育園・専門家と一緒に子育てを考えるチャイルドコミュニティ
コラムタイトル
お子さんは、毎晩、
何時に寝ていますか?
 日本小児保健協会の2000年の調査では、夜10時以降も起きている3歳児の割合は52%以上。幼い子どもたちの半分以上が、遅寝なのです。深夜のコンビニや居酒屋、カラオケボックスなどに親子連れがいても、違和感を持たなくなった方が多いのでは・・・。

 1990年代前半には東京が仙台、熊本よりも寝る時刻、起きる時刻とも遅かったのですが、90年代後半にはこのような地方差はなくなりました。今では日本全国どこでも、子どもたちは夜ふかし朝寝坊です。でも、子どもたちをこんなにも夜ふかしにさらしているのは、世界中で日本だけです。

 2004年、寝る時刻が午後10時以降の赤ちゃんは日本で約5割ですが、ヨーロッパでは2割前後です。同じ年、寝る時刻が午後7時以前の赤ちゃんが日本では1.3%ですが、ヨーロッパには3割前後います。

 このように夜ふかしな日本の赤ちゃんの様子ですが、1979年には日本の保育園児の8.1%が午前中にあくびをし、10.5%がすぐに疲れたと訴えていましたが、2000年にはこの数字はそれぞれ53.2%と76.6%になっています。

 3歳前後の子どもたちについて、寝る時刻と起きる時刻の平均を調べたデータがあります。国際比較では、寝る時刻が日本に近くて遅いのはイタリア。ほかは、スイスもフランスもアメリカもすべて日本よりも早起き早寝です。

 イタリアで寝る時刻が遅いのは、大家族で夕食を楽しむという生活に積極的に幼児も参加させているから。こんな夜ふかしのイタリアでも朝は早起きなんですよ。そして昼寝習慣(シエスタ)があります。遅寝、そして朝寝坊は、幼い子どもたちの心身によくない影響を与えるという、さまざまな研究結果があります。子どもの遅寝は禁物ですよ。
子育てコラムINDEX
第6回
第7回
第8回
第9回
第10回
第11回
第12回
子育てコラム 著者プロフィール
東京ベイ・
浦安市川医療センター
センター長
神山 潤

東京生まれ、
東京医科歯科大学医学部医学科卒業
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
日本子ども健康科学会 理事
日本小児神経学会評議員
日本臨床神経生理学会評議員
日本睡眠学会理事
子どもの早起きをすすめる会発起人。

睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。 旭川、ロサンゼルスでは睡眠の基礎的研究にも従事。
米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。

オフィシャルサイト http://www.j-kohyama.jp/