幼稚園・保育園・専門家と一緒に子育てを考えるチャイルドコミュニティ
コラムタイトル
朝の光で25時間の生体時計をリセット
 生体時計の周期からすると、大人も子どもも、朝寝坊や夜ふかしのほうが断然ラク。でも、昔は夜ふかしをする子どもが今ほど多くはありませんでした。かつて子どもたちが昼間に外で十二分に活動できた時代には、夜には疲れ果てて眠るしかなかったからです。
 でも現代は違います。昼間に身体を動かそうにも、動かせる場所がありません。大人の売り込むテレビ、ビデオ、ゲームに子どもたちは熱中させられ、ますます身体を動かさなくなっています。いわゆる子ども向けの番組が午後9時から始まることも珍しくはありません。
 ですから、今の親御さんは大変ですね。昔以上に寝るまでの段取り「入眠儀式」をしっかりと行うことが必要なのです。
 「本を読む」や「子守唄」ばかりが入眠儀式ではありません。最近ではTシャツ、ジャージーで眠る子どもたちも多いようですが、寝巻きに着替える、翌朝に着る衣類をそろえて枕元におくなども立派な入眠儀式。寝る前にお部屋の中のテレビや冷蔵庫やたんすにオヤスミをいう「おやすみツアー」が効果的なお子さんもいます。お子さんに合わせたオリジナルの儀式を、それぞれの親御さんがぜひとも編み出してあげてください。
 ヒトは、本来、昼に活動するような身体の仕組みになっている生物。でも今の日本の子どもたちは「24時間社会」に無防備にさらされています。「24時間社会」は人類史上、経験したことのない環境。今眠りを奪われた子どもたちの将来にどのような影響が出るのか、実はまだ誰にもわかってはいません。でも、身体のリズムを守るのが大切なのは明らかなこと。親御さんの責任は大きいですから、入眠儀式を工夫して寝かしつけをしっかりしましょう。
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子育てコラム 著者プロフィール
東京ベイ・
浦安市川医療センター
センター長
神山 潤

東京生まれ、
東京医科歯科大学医学部医学科卒業
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
日本子ども健康科学会 理事
日本小児神経学会評議員
日本臨床神経生理学会評議員
日本睡眠学会理事
子どもの早起きをすすめる会発起人。

睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。 旭川、ロサンゼルスでは睡眠の基礎的研究にも従事。
米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。

オフィシャルサイト http://www.j-kohyama.jp/