幼稚園・保育園・専門家と一緒に子育てを考えるチャイルドコミュニティ
コラムタイトル
お子さんに合わせた入眠儀式を。
 私たちは、体の中に「生体時計」という独特の時計を持っています。夜になると眠くなり、朝になると目覚めるといったリズムは、生体時計に従って繰り返されているもの。
 たとえば、体温の高低にもリズムがあります。体温は明け方に最低となり、夕方に最高となります。つまり、ヒトは体温が低くなった後に目覚め、体温が高くなった後に眠りにつくというわけ。眠たくなった赤ちゃんの手足を触ると、暖かくなっていたという経験はありませんか。これは手足の血管が開いて熱を放出し始めたから。同時に、身体の中心部の体温が下がり始め、眠る準備ができるのです。 成長ホルモンや睡眠を促すメラトニンというホルモン、ストレスに立ち向かうために必要なステロイドホルモンの分泌量も、朝や夕方に周期的に増えたり減ったりします。
 このように、ヒトの身体にはリズムがあります。ほぼ1日を周期とするさまざまな出来事が体内で起こっているのです。 ところで、リズムをつくるヒトの生体時計は、地球の1日24時間より1時間長い約25時間で動いています。1日24時間の地球で生きるためには、ヒトは生体時計を地球時間に合わせねばなりません。そのためにもっとも大切なのは「朝の光」。
 私たちは朝に光を浴びるおかげで、生体時計を地球時間に合わせることができているのです。不思議ですね。 ところが、夜に光を浴びると生体時計が「まだ昼間だ」と勘違い。生体時計の周期は長くなり、地球時間とのズレが大きくなります。その結果、睡眠やホルモン分泌のリズムが乱れ、子どもの成長や体調もバランスを崩してしまいます。 生体時計の周期である約25時間は、大人も子どもも同じ。ふつう「子どもは夜になったら早く眠るもの」と信じられていますが、子どもも大人と同じように、朝寝坊や夜ふかしが楽にできるような身体の仕組みなのです。
 子どもの健康を保つためには、親がしつけとして寝かしつけをしてあげることが必要になってくるのです。
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子育てコラム 著者プロフィール
東京ベイ・
浦安市川医療センター
センター長
神山 潤

東京生まれ、
東京医科歯科大学医学部医学科卒業
東京ベイ・浦安市川医療センター センター長
日本子ども健康科学会 理事
日本小児神経学会評議員
日本臨床神経生理学会評議員
日本睡眠学会理事
子どもの早起きをすすめる会発起人。

睡眠、特にレム睡眠を脳機能評価手段の一つとして捉える臨床的な試みに長年取り組む。 旭川、ロサンゼルスでは睡眠の基礎的研究にも従事。
米国から帰国後、日本の子どもたちの睡眠事情の実態(遅寝遅起き)に衝撃を受け、社会的啓発活動を開始している。

オフィシャルサイト http://www.j-kohyama.jp/